モノガタリ

2004年7月20日
また、夏が来る。

私が、夏を感じるのは、
梅雨明けでもなく、晴れた夏空でも、向日葵の花でも、
社会人らしくない肩を出したタンクトップでも、
露出された肩を、アスファルトとともにじりじりと焼く、熱い熱い空気でもない。

なんだろう。
例えば、7月20日という日。

7月20日。
私の誕生日のちょうど1ヶ月前の日。
それから、7月23日の訪れを、
否応なく実感する、その日。

7月23日は、彼の誕生日だ。
国民の祝日でもないし、ましてや今年は金曜日なので、会社も普通にある。
だけど、あの人が生まれた、1年でたった一度の、記念日。

この日を、欠かしてはいけないのだ。
と、まるでそれが義務であるかのように、私は思う。

なぜならば、7月23日は、彼を大切に想う人間の有無を確認できる、
彼にとっては貴重で貴重で貴重なチャンスであり、
仮に私がそれを欠いた場合、
もしかしたら彼は絶望的な孤独に苛まれるのではないか、と、
何の根拠もなく、しかし確信的に思うのだ。

いや、根拠は、ある。
基本的に彼は孤独だから。
でも、私は恋人でも家族でも親友でもないので、
日常的に彼に気持ちを送るわけには行かない。
いくら孤独な人間でも、恋人でも家族でも親友でもない人間に
頻繁にそんなことをされたら、うざったい。

少なくとも、私なら、そう思う。

だから、7月23日にだけ、私はそれを、確実に実行するのだ。
その日を忘れない、忘れられない私の存在を伝える、
たったそれだけの作業を用意周到に実行する。

彼が、それを必要としないくらいの幸せを、
いつか手にすることを心底祈りながら。
彼が、それを必要としなくなったとき、
私はどこに行けばいいのか、いまだ答えが見つからぬまま。

今年も、1枚のカードを送ろう。

「お誕生日おめでとう、おめでとう。
きみが、キラキラと、たくさんの笑顔を見せれる今年であるよう、祈っています。

夏オンナより、愛をこめて。」

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